しばらくぶりに入荷したフリーベリの作品を見て、あらためてその美しさにアジア、それも南宋の陶磁器の影響を感じました。
この見事な口のカーヴを描くこのボウルは、まさにその影響を強く感じる逸品。
こっくりと深いブラウン釉薬と、見込みの景色がじつ美しい。おそらく1951年の作品です。

僕の理解ですが、唐の時代にあった白磁や青磁にとどまらず、さまざまな釉薬を使いはじめ、「用の美」として汎用性のある焼き物が生まれたのが宋の時代だったと思います。そこで特筆すべきは、柔らかでオーガニックな形です。しかしフリーベリ凄いところは、そんなシノワズリの影響を独自の釉薬と轆轤さばきで昇華し、彼自身のスタイルを確立したところです。

こちらは1951年の作品。そのころに特徴的な見事な口のカーヴを描くこのボウルは、とても珍しいもの。こっくりと深い表情を表わすブラウン釉薬と、見込みの景色、高台周りの天目がじつに見事です。サインマークも、よく知られるものとは違っています。
口縁に1箇所2mmほどのチップ、その横に小さなボップがあり、コンディションを考慮したプライスとなっています。