Heidi Blomstedt(ヘイディ・ブロムシュテット 1911-1982)は旧姓Heidi Sibelius(ヘイディ・シベリウス)。そうジャン・シベリウスの娘なんです。シベリウスといえば、アアルトと同じようにフィンランド独立の精神的支柱として国民から愛された人。そのため、彼女は芸術家や建築家との交流も多く、文化的な家庭環境の中で育ったようです。そして、アアルト大学のアート＆デザイン、建築科を1932年の卒業後、アラビアやウプサラで働き、その後フリーランスとして陶芸とガラス作品を発表しました。
そのジオメトリックな作風は、フィンランド・デザインの中では異色で、フランスやイタリアなどの汎ヨーロッパ的美意識すら感じられます。作品数はとても少なく、フィンランド国内でも目にすることは稀です。

彼女の1960年代頃の作品。木製のフタがついた置物は、どっしりと重みがあります。グロッシーな赤系釉薬とエッジのマットな黒釉薬のコントラスト、手触りと質感が、フランスのセラミストであるジョルジュ・ジューヴの作品を思い起こさせる逸品。
口縁2箇所に浅くとても小さなクラックが見られますが、風合いを損なうレベルではありません。何より希少な作品として、非常にオススメです。




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