Roger Colletは以前から気になっていたフランスの陶芸家。生まれは1933年スイスのローザンヌですが、地元の陶芸学校を経て、1956年に（やはり）フランスのヴァロリスに移り住み、他の若き陶芸家とともに研鑽を重ね、この陶芸の町における第2世代のアーティストとして活躍しました。
まず紹介するのは、彼が1968年にイタリアでゴールドメダルを受賞した際の作品に通じる2度焼き技法を用いて、独特のレリーフ手法を生かしたベース。一瞬、濱田庄司の「掛け釉」を思わせるスタイルが大胆に、かつ小気味良く表わされています。フランスの陶芸家は、陶器をある種のキャンバスに見立て、まるで抽象画のように自分の世界を表現するかのようです。
底面にはColletのサインの横に、MFとあります。これは、妻であるMarie-Franceとのコラボの証。奥さんとの協働作品が多いのも、フランス、もしくはヨーロッパの陶芸家に見られることです。
しっかりとしたボディに施された激しいスクラッチ感が、不思議に静謐な空気を表した作品。
とても良いヴィンテージ・コンディションです。