ポール・ケアホルムのソファは低座で、内部のフェザー・クッションが独特な柔らかさで身体を受け止める唯一無二の座り心地。そのことを実感したのはデンマークのルイジアナ美術館でのことでした。なんとブックストアに置いてあったので、このお高いソファに恐る恐る座ってみました。すると、この私的な美術館が持っているセンスと素晴らしくマッチするではありませんか。それは、ポール・ケアホルムという独創的なデザイナーの射程の広さと、懐の深さに由来していると実感しました。
そんな特別感を独り占めできるのが、この1 シーター。コールド・クリステンセン社で1958~81年に制作されました。刻印はありませんが、同社のプロダクトには刻印ではなくシールのものもあり、初期の作品かもしれません。現行のフリッツ・ハンセン社と比べると、スチール脚部の厚さや幅が若干太く、切り口の丸みもふくよかです。経年によるオリジナル革シートの疲弊感やスレ、ネジ部や脚に錆がみられます。ページ下部分に掲載したスチール脚部の画像の通り(やや極端に写っています)、錆はある程度落とせるかと思われますが、マスターピースのパティーナとしてそのままにしています。その他、大きなダメージは見当たりません。

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