素晴らしい造形美と世界観を持つ知育玩具で、強く私達に印象づけたスイス人彫刻家アントニオ・ヴィタリ（1902-2008）。そんなヴィタリの素晴らしさを教えてくれたライター＆編集者の小柳帝さんは著書『EDU-TOY』でヴィタリ氏からこんな言葉を聞いたといいます。
　”子どもにとって玩具というのは、「おもちゃ」ではなくて「友だち」でなければならない。”
この言葉は、子どもだけではなく、大人にも相通じるメッセージかもしれません。ヴィタリの玩具には抽象化された、彫刻家の息遣いが感じられるのです。
こちらは、アヒルの子ども。大人のアヒルに比べると、ひと回り小さく、首も短く、丸っこさが強調され、尾っぽも立っていません。そんな小さな視線に、ヴィタリ氏の眼差しが感じられます。
1944-55年の間に製造されたものですが、マークはありません。
何よりも艶と色を深めた木の肌がヴィンテージならではの風格を高めています。