39歳という若さでこの世を去ったフィンランドの女性ガラスデザイナーGunnel Nyman(グンネル・ニューマン/1909年-1948年)。カイ・フランクと同時期に在籍していたヌータヤルヴィの工房で作られたガラスボウル。

儚げなライラックカラーに気泡が整然と並びます。
柔らかい曲線のボウルにぴったりなふくよかな口縁、上から覗くとその口元まで連なる気泡のコントラストに目を奪われます。その奥行きのある景色はガラスという素材ならではです。

現代の技術を以ってすれば、この気泡が並ぶガラスというアイテム自体は珍しくないものです。それでもこの小さな気泡のバランスと間隔の精緻な意匠と職人の技に結実した作品は、唯一無二の魅力に溢れています。

フィンランドのガラス工芸の黄金期は彼女なくしては語れず、本国はもとよりイギリスやアメリカなど世界的な美術館にコレクションされているのですが、その歴史的背景を抜きにしてもそのガラスの佇まいに目を止めてしまうのがグンネル・ニューマンの作品なのです。
内外ともに底面に使用感が見られますが、コンディション良好なアイテムです。
底面のアシッドサインは経年で一部しか残っていません。