フリーベリの作品が中国の宋や元代の陶磁器の影響を受けていることはよく知られています。しかし、それは単に類似していることを意味してはいません。例えばこの小さなベースは、宋胡録(スンコロク)にも通じる形状ですが、その姿や色はフリーベリ独自のもの。生涯を通して研鑽を重ねた結果としてのオリジナリティに溢れています。1957年に作陶されたこの作品、中国にはない濃い藍色と、敢えて潰したようなシェイプにそんな実験の姿勢が見て取れるようです。「ヨーロッパ・ミーツ・アジア」なのです。
口縁部にリペアがあるとのことですが(写真5)、とても上手になされています。価格はそのことを踏まえたものです。