2019年にヘルシンキの国立アテネウム美術館で開かれた”Silent Beauty”という合同展にHeidi Blomstedt(ヘイディ・ブロムシュテット 1911-1982)の作品がフィーチャーされたのは当然のことでした。作品はもちろん、彼女自身があのシベリウスの娘だということをさておいても、その作家性が「静かな美しさ」を内包しているからです。
ヘイディ・ブロムシュテットはキュービックなセラミック作品で一部のファンのハートを掴んだものの、日本での認知度はまだこれからというところでしょうか。でも、作品数が少ないところが悩ましいのですが。
そんな中で今回入手したのは、彼女のガラス作品です。
陶器作品と同じキューブ型ですが、木型を使う限界の厚さを得たクリスタルガラスの静謐で強い彼女の美学を感じます。アルヴァ・アアルトの不定形なガラスの揺らぎとは似て非なる表現とも言えそうです。
制作されたのは1969~70年で、フィンランドの老舗ガラス・ファクトリーであるKumela Glassより”Lumi Glass”の名称で発表されたものです。
特筆するダメージなどはありません。およそ16センチ角あるサイズに対して、重量は2.9kgとヘヴィーです。