こちらはピエール・ガーリッシュが、コルビュジェのユニテ・ダビタシオンのためにデザインしたものともされてきましたが、最近になって、異論があることがわかってきました。
フランスの老舗メーカーであるBauman社が制作したことは判明しているのですが、ピエール・ガーリッシュ本人がデザインしたかどうかの資料は今のところ見つかっていないようです。実はペリアンもそうですが、ガーリッシュはインテリア・デザイナーでもあったわけで、彼らは良いと思ったら自作でなくともチョイスしたりもしています。大切なことは、それが置かれる場所にフィットし、良い効果を発揮するかということ。この椅子が放つエレガントなエスプリは、それを満たすことを把握していたのかもしれません。
フランスならではの優しく淡いイエロー色のヴァイナル・レザーに包まれた小ぶりな椅子ですが、座ってみると日本人の体格にもジャストフィット。アノニマスな逸品です。
特筆するダメージもなく、年代を考えると素晴らしいコンディションです。

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