フィンランドのテキスタイル・デザイナーの中でも、見逃すことができないのがドラ・ユング(1906-1980)です。彼女は”ダマスク織”という中東において古くから伝わる手法で自身のスタイルを確立しました。それは抑制されながらも、豊かである美意識なのです。
　ダマスク織は、縦糸と横糸が織りなす構造の効果として、見る角度によって”違った光の反射の変化”を生み出します。光と影の繊細なパターンを連続するという「イスラム的」な手法を得て、テーブルリネンや室内装飾品をはじめ、 ダマスク織を昇華したアート作品も制作しています。
またドラ・ユングは終生にわたりグンネル・ニューマンの友であり、幾度も一緒に展覧会を開いています。二人には、クラシカルさに新しい息吹を吹き込むという、共通する理念があったのです。

同じ”Herb Garden”シリーズでも、色彩がピンクになるとまるで春の農園のようにその表情が変わります。裏面は少し華やかなピンク。気分によって裏表を使うことができるのも魅力です。芸術性と商品性を兼ね備えるファブリックは、1951年にはミラノ・トリエンナーレで、そのモダンなダマスク織でグランプリを獲得しました。
イメージ画像では天板サイズ W約1400mmxD780mm のテーブルにカバーしています。
ダメージのないビンテージです。

ドラ・ユングのシンプルでグラフィカルなテーブルクロスは、第二次対戦後の1940年代後半になると、スウェーデンやノルウェーなどでもエキシヴィジョンを通じて広がりを見せるようになります。それには、Artekの創始者マイレ・グリッセンや、アアルト夫妻などフィンランド国内での彼女の作品に対する高い評価があったからなのです。テーブルのご馳走を邪魔しない、控えめな図柄にセンスを感じます。