フィンランドのテキスタイル・デザイナーの中でも、見逃すことができないのがドラ・ユング(1906-1980)です。彼女は”ダマスク織”という中東において古くから伝わる手法で自身のスタイルを確立しました。それは抑制されながらも、豊かである美意識なのです。
　ダマスク織は、縦糸と横糸が織りなす構造の効果として、見る角度によって”違った光の反射の変化”を生み出します。光と影の繊細なパターンを連続するという「イスラム的」な手法を得て、テーブルリネンや室内装飾品をはじめ、 ダマスク織を昇華したアート作品も制作しています。
またドラ・ユングは終生にわたりグンネル・ニューマンの友であり、幾度も一緒に展覧会を開いています。二人には、クラシカルさに新しい息吹を吹き込むという、共通する理念があったのです。

こちらは1961年にデザインされた代表作「100の薔薇」。限りなくオブスキュアなピンク色は、裏表反転することで光沢とマットの違いを楽しむことができます。それは、横糸面のツイル織りと縦糸面のサテン織りを交互に使用することで、各々のパターンに変化を与えているため。とても繊細なクラフトのなせる技なのです。
100%リネンのため、多少の折りシワが見られますが、ほつれなどはない良好なコンディションです。右下にメーカーである「Tampella」のマークが施されています。1970x1330mmのサイズなので、大きめのテーブルにも対応します。