もう随分前のことですが、初めてこのスツールに出会った時、なんだか元気をもらった気がしました。ステフ・シモンのギャラリーから発表された有名な椅子やスツールの完成度も素晴らしいのですが、それとは違う”ナイーヴ”さとでもいうのでしょうか。さほど目立たず、だからこそポテンシャルの高さを感じたからです。
シャルロット・ペリアンは1968年からサヴォア地方のスキーリゾート施設「アルク」の設計にとりかかります。それには内装、家具までのディレクションを含んでいて、すべてがコンパクトな部屋のためにデザインされました。このスツールもそのひとつ。
このスツールにはいくつかのヴァージョンがあります。今回ご紹介するのは、そのなかでもこの地方の伝統的なDNAを受け継いだもの。ただし、座面と脚部の接合には、「ホゾ組」を施すことで強度面を配慮し、見た目にもアクセントとなっています(写真8)。コルビュジェやマックス・ビルも「箱」をイメージさせるスツールをつくっていますが、ペリアンもこの簡潔な形にたどり着いています。汎用性にも優れた「究極のスツール」なのです。

今回紹介するものは、座面をはじめとする小さな打ち傷・エッジのキズやスレ、使用感があるものですが、がたつきもなく、パイン材の経年変化した飴色を含めてお好きな方向けです。写真で状態確認下さい。

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