organの店内でこの赤い球体をご覧になったお客様から、「これって何ですか？」と訊ねられ「ハットスタンド」ですとだけ答えたけれど、果たしてそれでよかったのだろうか。
Nanny Stii(1926-2009年)は、フィンランド最古のガラスファクトリー”リーヒマイネン社”のスター・デザイナーでした。ジオメトリックで遊び心に溢れた彼女のガラス作品は、各国のミュージアムにコレクションされています。でもそんな彼女が作ったこちらは、紛れもなく木製なのです。
ナニー・スティルが木という素材に興味を持ったのはタピオ・ヴィルカラの指導がきっかけだったといいます(彼女の作品集にはウッド製のさまざまなカトラリーが紹介されていて、どれもが垂涎モノです)。そして戦後の北欧デザイン模索期、アルテックのマイレ・グリクセンが創設した”Norrmark Handicraft社”から発表されたのがこのハットスタンドなのです(ちなみに作品集ではウィッグスタンドとなっています)。
それにしても、フィンランドにおける当時のデザイナーやパトロンたちの相互理解や協働関係が、いかにエキサイティングだったかを思います。

帽子やウイッグを載っけても可愛いけど、オブジェとして置いて元気をもらいましょう。
経年は感じますが、ダメージもなく良いヴィンテージコンディションです。