ハンス・ベルマン( Hans Bellmann )は1911年スイスに生まれ、製図技師としてスタート、デッサウとベルリンのバウハウスで学び、その後、ミース・ファン・デル・ローエのスタジオで建築家となった人です。
スイスは、ドイツ、フランス、そしてイタリアの民族混合国家でもあり、 ゲルマンとラテンという ヨーロッパの二大文明の接点をなす国。そこから生まれた美意識は冷静で簡潔なグラフィックデザインとしても知られていますが、ハンス・ベルマンは家具のデザインにおいてもそのメソッドを発揮しました。

こちらは1950年代、プライウッドという当時の新素材を使い、シートを二分割することで三次元的な動きを持たせるというミニマルな発想を備えた椅子として注目をされたもの。肝心の座り心地ですが、背板をV字にするなど見た目のスタイリッシュなフォルムから想像できないほど体にフィットするからビックリです。製作は1880年創設スイスの老舗木工メーカーHorgenglaus。

メタル脚表面の黒塗装の剥げと、座面プライウッドのスレが見られます。また、設置した際にわずかなガタがありますが、座って感じるレベルではありません。いずれも経年相応と判断します。
クールなデザインと木の変色具合が良いマッチングを見せた一脚です。

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