藪さんの新作が五つ届いた。どれも、なんというか藪さんらしくて、「スロー絵画」とでも呼んで見たくなる。
でもそれは「ノンビリ絵画」ではない。「薄塗りで油彩を重ねてゆく」ことらしく、「これで完成なのか？」と自問しつつ、「僕らの人生って薄塗りです」と自答する。つまり「パッションは熱く、表現は薄くしたい」ということなのか。

この絵はウッドのパネルに油彩の複雑なディテールが重なり融合した作品で、”夜の樹”と題されている。ちなみに、 「樹」は「木」と違って、＜根がある状態で生きていること＞を指すという。それはもし暗い世界にあっても、樹はしっかり生きていることのメタファーなのか。

薄塗りとはいえど、油絵具がキャンバスにしっかり「へばりついている」のがみて取れます。