ハンス・アルプは、旧ドイツ領のアルザス地方で、フランス人の母親とドイツ人の父親の子として生まれています。 その後、第一次世界大戦が終わり、アルザスがフランスに返還される際、フランスの法律によりアルプはフランス語の名前を義務付けられジャン・アルプとなりましたが、ドイツ語で話すときは引き続き「ハンス」と名乗っています。
EUとなった現在と違って、ヨーロッパの国々が様々な戦争を繰り返していた時代に、アルプは自身のアイデンティティーへの様々な疑問を持たざるを得ない人だったのです。
そんな時代にアルプは国籍ではなく「ダダイスト」を選びました。詩人として出発し、前衛芸術家としてコラージュや彫刻家として独自の”単独性”を模索したマルチな表現者でもあったのです。

こちら"Schalenbaum=貝殻の木"と題されたブロンズ像は高さ1mほど。1958年に出版されたMOMAの作品集におけるタイトルは”Tree of Bowls”となっていますが、貝殻かボウルかはさておき、「物」が危うくもバランスを保つ様を表しているように見えます。ひょっとすると、今の世界バランスかもです。

ポスターの端部分には、運搬中についたヨレ皺が見られますことがあります、あらかじめご了承ください。



ポスター