今回、スイスのバーゼルにあるバイエラー財団がコレクションするモダン・アート・ポスターを紹介します。
ほとんどが著名なアーティストの作品ですが、今の世界にあって「モダニズム」って過去の遺産でしかないのか、否か。なんて感じで選んでみました。
普通より大ぶりのサイズのポスターは、どれも色や細部へのこだわりが感じられる仕上がりです。
まずはこの巨匠から。

キュビズム以降のピカソの絵を見ると、つい「幼児画」を思い浮かべてしまいます。幼い頃から神童と言われたほどの達者な絵を描いておきながら、それを捨てるかように「キュビズム」という”いたずら描き”のような作風に一変したのは何故なのか。
それは、よく言われる「歳をとると幼児に戻る」ではなく、「幼児も大人である」という逆説だったのかもしれません。
この絵は、あの『アビニヨンの女たち』の「ひとり」ヴァージョンですが、実は彼女たちは娼婦なのです。容赦のない作中の女の眼差しを、ピカソは大人のような幼児として受け止めています。それは、まるでピカソの眼差しこそが、私たちや社会へ向けられているかのようです。
ちなみに、ピカソはこう言っています。
「私の芸術家としての生涯は反動勢力に対する絶え間なき闘争以外の何物でもなかった」




ポスター