◆I (24×27.9cm 320p Hard-cloth-Cover)
この写真集は単に「バウハウス」が生み出した実験的な写真表現を集めただけではありません。
全320ページ中、その90％のページを占める写真がすべて、有無を言わせぬ”自由”への渇望の記録であり、見ていると何をしているのかわからないような「遊び」とも思える学生たちの大胆な表現に驚かざるを得ません。
第一次と第二次大戦の間の束の間の、今から思えば「休戦状態」とも言えるような危うい時代に、バウハウスは産声を上げました。まるで綱渡りのようなこのムーヴメントが、後にモダニズムへの窓を開いた数々の伝説的なマイスターや建築家、デザイナーを生み出したことは半面だけの事実です。
この写真集で見られるように、実際には教える側だけの手柄ではなかったのです。マイスターと学生がイーヴンの立場で「お互いに教え＝教えられる」という見事なスパーク現象を起こしたことが見て取れます。ドイツに限らず、東欧やソヴィエトなどからの”リベラル”な教授陣と、強力な”自我”を持つ生徒側が「熱意を交換する場所」だったと思います。
そんなわけで、中身は各学科の生徒たちの日々の生活やマイスターとの交流、学祭での奇抜な仮面舞踏など、アヴァンギャルドな写真作品のオンパレード。90年も前の時代とは思えない学生たち(特に女性)のショートヘアスタイルやファッションは必見です。バウハウスの自由な空気がじかに感じられる編集となっています。

ダストカヴァーには破れと、表2,3にはシミ跡などが見られます。中ページにはうっすらと日焼けあり。それ以外はとても良いヴィンテージ・コンディションです。
1982年、西ドイツ出版、絶版
バウハウス vintage