フィンランドの南西部、アウラ川がバルト海に流れる河口のある街トゥルクで、1921年に設立され1969年に閉窯した"クピターン・サヴィ"。organでは以前入荷したHeidi Blomstedt(ヘイディ・ブロムシュテッド)のベースで覚えのある窯です。

明るいテラコッタカラーの、高さの割にささやかすぎる取手のアンバランスに目がいくベース。
もしこの小さな取手がなければ素っ気ないものになったでしょうし、かといって大きな取手がついていたら、飾る植物の魅力を損なうものだったかも、と想像してしまいます。
同じ形でハンドペインティングを施したアイテムも作られていたようで、そちらはそのままでも華やかですが、このテラコッタの釉薬のバージョンは、アートピースやプロダクトというよりもずっとエスニックなクラフトの雰囲気を纏っています。

その雰囲気を醸し出しているのは、どうやら形や色味だけではなさそうです。
うっすらと二手に分かれた釉薬の濃淡や、取手の一部は釉薬が乗り切ってないのか、焼く前に何かが触れたようなムラがあります。底のラフな仕上がりなど、見れば見るほど手の名残を感じ、味わい深く思えてくるアイテムなのです。

4枚目の写真の11時ー12時の位置に極薄い擦り傷が見られますが、表面的なものでクラックではありません。また、底はエッジ含めざらつきがありますが、製造時のものです。コンディション良好。底にはメーカーの印が見られます。